中山道ツーリング5日目(後半)

query_builder 2024/08/06
中山道ツーリング2024
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~前半からの続き~


東京で再開することを約束してドイツ人カップルと一石栃立場茶屋で別れた。茶屋を出たのは12時前後だが、そのころには世界中から訪れた外国人観光客で溢れていた。私は妻籠方面へ歩を進める。


昨日訪れた妻籠宿の好日珈琲オーナーから、廃村間近の状況にある村がサムライロード(妻籠~馬籠間の旧中山道)上に2つあるとお聞きした。その2つの村の場所を地図上に印をつけてくれた。下り谷と神明という村だ。

おそらく居住している世帯数が1もしくは2になった村と推察した。立地は良いのでこの2つの村の活性化プラン(古民家をゲストハウスに改修し、レンタカーを貸し出すなど)を模索しているようだ。オーナーは妻籠の議員をしているのでここら辺の事情には明るい。今回のサムライロード歩きにてこの2つの村を視察することも重要な任務である。


木陰の気持ちの良い道を進む


しばらく進むと男滝女滝といわれるトレイルの有名スポットに到達した。

男滝は写真ではわかりにくいが高さもあり水量もあり荒々しさを感じる滝です。昔の人はこの付近で水を浴びて涼を取ったのだろうと思いを巡らす。

近くのベンチに座って佇む外国人の姿も見受けられた


女滝は文字通り男滝より静かな滝です


「下り谷」とはこのエリアでしょう・・


石畳の美しい道


大妻籠エリアに近づくと老舗旅館が数件並ぶ、江戸情緒を残す町並みが現れた。初日に立ち寄ってその美味しさに感動した手打ちそば「金剛屋」もこのエリアにあり早速立ち寄るが、ナント完売の札。。

この数日楽しみにしていたのに、ショック(´;ω;`)ウゥゥ


手打ちそば「金剛屋


気を取り直して大妻籠エリアを散策する。

このエリア訪問はおそらく3度目になりますが、外国人宿泊者がのんびりと休んでいました。大妻籠エリアはインバウンド宿泊者が多いようです。


旅館「つたむらや


旅館「まるや


まるや」の玄関。雰囲気ありますね!

(妻籠の古民家カフェ「好日珈琲」オーナーのご実家です)



旅館「波奈屋


大妻籠は江戸情緒を残す非常に雰囲気あるエリアです。妻籠宿まで歩けない距離でもありません。妻籠宿内に宿が少ないので、妻籠で宿泊出来なかった方は大妻籠に泊まるのも良いかもしれません。。全く商業化されていませんが、それがまた静かで味わい深いもの…(笑)


大妻籠まで来ればゴールの妻籠宿まであと少しです。


マスターの言っていた「神明」とはこのエリアかな…


妻籠に到着して好日珈琲オーナーにサムライロードのご報告をと思ったが、その前に再度妻籠宿を散策。


上嵯峨屋


再現された厩(馬屋)


あっ、あと今回時間の関係上立ち寄りしませんでしたが、初めての方は

脇本陣奥谷(林家住宅)」と「妻籠宿本陣」「南木曽町博物館・歴史資料館」を訪問することをお奨めします。


10年前に妻籠を訪問した際に、脇本陣で熱心に見学をしていたので学識経験者と思われたのでしょうか、案内係の方が特別に立ち入り禁止の部屋を案内してくれました(笑)


まず案内してくれたのが、密会用隠し部屋江戸時代には、政策的目的からか密会ができる部屋が各宿場町に1ヵ所設けられたようだ。 妻籠ではその密会場所が当該脇本陣奥谷2階に設けられたようで、場所を隠す為に密会部屋の入口扉が押し入れ扉と区別がつかない造りになっている。 この押し入れ扉のような入口を開けると隠し階段があり、その先に密会部屋がある。 なんと、立ち入り禁止のその密会部屋に立ち入らせてくれました(↓)


脇本陣奥谷 密会用隠し部屋


密会部屋というだけあり、声が外に漏れないよう特別の防音仕様になっているとのこと。 この部屋で、いつ誰がどのような密談をしていたのだろうか・・・   壁紙がひどく傷んでいたが、特別の仕様のため修復する技術が現代でもないのだそうだ。


密会部屋を設けるとすれば、本陣か脇本陣のいずれかでしょう。今回他の宿場町も細かく見て廻ったが本陣は跡地として残っている場合が多く、本陣にせよ脇本陣にせよ建物として残っているケースは稀である。妻籠宿以外で密会部屋が残っている建物は日本に存在するのだろうか。。だとすれば、脇本陣奥谷(国重要文化財)は国宝級の価値があるのではないだろうかと、、

(もし密会部屋の情報を持っている方がいれば是非こっそりと教えてください。。)


次に案内されたのが、同じく2階に位置する立ち入り禁止の女性専用部屋。 ここは珍しいことにお部屋が9畳です。案内人曰く、昔は10になるとまたゼロに戻るという思想(つまり9が最大という思想)があったため、意図的に10畳にはせずに9畳の部屋を設けたそうな。。  また、この部屋の襖には、↓の紋様が描かれています。

正直ワタクシは紋章には疎く、全く??ですが、とある学者が見学した際に「京都の○○と同じ紋章があるのはどういうことか?」と非常に不思議がっていたそうです・・ 

案内人曰く、京都と妻籠は繋がりがあったようです。


10年前に立ち入り禁止部屋を特別に案内してくれた案内人に今でも感謝しております!!



妻籠散策を終えてサムライロードのご報告と好日珈琲に立ち寄る。

昨日の開業直後の状態と異なり、店内はほぼ満席状態だった。外国人の姿も多くみられる。

保守的な長老が実権を握っている妻籠のような町では、何かの町興しをするにも時間や根回しを要する作業になるでしょう。とはいえ、底知れぬ観光ポテンシャルを有する妻籠宿の魅力に改めて虜になりました。

旅先で会った例のドイツ人曰く、日本の観光地と言えば「京都と中山道」と言われるくらい海外では認知された人気観光スポットのようです。

古きを残しながら地域として発展してほしいものです。


コーヒーを飲みながらマスターと30分程度話をして妻籠を後にする。

バイクを停めている馬籠に一旦戻る必要があるが、バスを待っていると時間が勿体ないのでタクシーで馬籠に向かうことにした。4000円程度かかったがこれも必要経費ということで・・(笑)


馬籠で原付をピックアップすると今夜の宿泊地、奈良井宿へと急いだ。

夕暮れの時間になっているが、奈良井に行く途中「阿寺渓谷」に是非立ち寄りたい。なぜなら今回阿寺渓谷を訪れる最後の機会になるからだ。


阿寺渓谷に到着したのは夕方5時だった。日も暮れかかっており、最高の景色は見れないかもしれないが、それでも見る見ないでは雲泥の差がある。柿其渓谷と異なり、バイクに乗ったまま景色を見れると刀オーナーから聞いていたので、渓谷沿いの道を原付で進む。


原付で飛ばしていると木々の間から渓谷美が顔を覗かせる。

おっと思った場所で路肩に原付を停め、渓谷のほうに降りていく。

いやぁ、美しいの一言。。






澄み渡るような透明度。

柿其渓谷はエメラルドグリーンでしたが、阿寺渓谷はブルーですね。

実際「阿寺ブルー」などと呼ばれているそうです。

徳島に「仁淀ブルー」と呼ばれる仁淀川がありますが、さてどちらが綺麗なのか・・(笑)




夕方でも阿寺渓谷に足を運び大正解でした!

曇りの日の夕方の時間でこの美しさですから、晴れた日の日中はどれくらい綺麗なんでしょうかね・・・

阿寺渓谷と柿其渓谷は、中山道訪問の際にはぜひ足を伸ばしたいスポットですね!!


大急ぎで阿寺渓谷を一通り見て、麓に戻ってきたのが17時半。

今夜の宿、奈良井宿「伊勢屋」のチェックインが18時まで夕食は18時半からなので、到着が遅れる旨宿に一報を入れる。

阿寺渓谷から奈良井までは約1時間、踏ん張りどころです💦


奈良井に到着した頃には、日が暮れていた。

いったん宿の専用駐車場にバイクを停めるがご主人が軒先に停めて構いませんよと声をかけてくれたので、JOG君を夕食後動かす。

奈良井「伊勢屋」は1818年創業の老舗旅館で、奈良井宿のなかでもベストロケーションのお宿といっても過言ではない。

一度泊まってみたいと思っていたお宿だったので、一人でも宿泊できたのは非常にありがたいです!

チェックインして、おかみさんに一通り風呂場や食事会場、宿の造りなど案内していただき、部屋に通される。2階母屋のメイン通りに面した9畳の和室で、窓から通りを見渡せるのが非常に風流である。ワタクシにとっては十分過ぎるほど立派なお部屋だった。


食事の時間が過ぎていたので、浴衣に着替えると1階の食事会場に移動した。




食事に合わせて日本酒を注文。ふー、癒される。

会場を見渡すと、隣に白人女性が二人。アクセントからアメリカ人の母娘なんでしょう。そのほかは日本人のようでした。お品書きも綺麗で、食事もとても美味しかったです。


食事の時間が遅かったためか、食事会場には最後はワタシ一人になり、女将さんからインバウンド観光客の宿泊状況、観光ルートなどの情報を教えて頂いた。

塩尻宿の刀オーナーや妻籠宿の好日珈琲オーナーから、外国人観光客の中山道を旅するルートとして「サムライロード(馬籠から妻籠)」→「与川道(妻籠から野尻宿)」→「JRで野尻から木曽福島に移動、宿泊」の話は聞いていたが、木曽福島以後の足取りを伊勢屋女将さんから聞くことができた。


木曽福島で観光・宿泊した後、翌日JRで木曽福島から藪原駅まで移動し、そこから旧中山道を更に歩き「鳥居峠」を超えて奈良井宿まで徒歩で移動、奈良井で観光して宿泊するそうだ。そして翌日、奈良井から漆器で有名な隣の木曽平沢宿まで歩き、漆器工房を見学し、JR木曽平沢駅からはバラバラのようです。JRで松本に行ったり、東京に行ったり、中には飛騨高山や白川郷、金沢まで行く人もいるでしょう。


これで中山道を旅する外国人の観光ルートの全貌を掴むことができました!笑 刀と好日珈琲オーナーからは鳥居峠の話は出ませんでしたが、地域が離れているのでそこまでは把握はされていなかったのでしょう。

ただ、上記インバウンド向け中山道ツアーの企画販売をしているのは、「奥ジャパン(妻籠の会社)」と「Walking Japan(大分の会社)」の2社ということで、これは古民家カフェオーナーも伊勢屋女将さんも共通した認識をお持ちでした。おそらくツアー客受け入れなどの件で直接2社と連絡をしているのだと思います。


また、奈良井では酒蔵や古民家を改修して和モダンなゲストハウスをBYAKUという名称で運営している会社がありますが、これは竹中工務店が森林公社と共同出資で、塩尻氏の補助金を活用して行っているビジネスであることも女将さんから聞くことができました。

奈良井も他の宿場町同様、閉鎖的な側面があるようで大手ゼネコンである竹中工務店が奈良井に進出することにつき、住民でいろいろな軋轢があったようです・・(詳細は以下サイト参照のこと)


竹中工務店の奈良井Byakuプロジェクト


夕食会場にノートとボールペンを持っていき、女将さんのお話を必死でメモしていました。こういう宿泊者はめずらしいでしょうね。。💦

どの時期にツアーが多く、また少ないかなどの季節的変動のお話も伺うことができました。女将さん、とても貴重なお話ありがとうございました!!


夕食後、宿専用駐車場に停めていたJOGを伊勢屋の軒下に移動させる。

どうです? サマになっているでしょう??(爆笑)


夜の奈良井宿を浴衣のまま散歩。気持ちが良いですね。

近くのお食事処「松浪」で食事を終えた外国人ファミリーが満足気にお店から出てくる。浴衣姿で奈良井宿を歩くボクの姿を見て、さらに満足しているようでした(笑) 奈良井は綺麗なので、存分満足して帰ってくださいねー。


宿に戻り、伊勢屋のお風呂に入る。至福の時間です・・

2か所あって、空いていれば貸し切りで使えます(予約不要)。

温泉ではありませんが、お風呂もとても広くて綺麗です。

写真ではわかりにくいですが湯舟は広く、小学生2人のファミリーであれば家族4人で入れるくらいの広さがありました。洗い場も2か所あります。



お風呂で寛いだあと、部屋に戻って買っておいたチューハイで一人晩酌。

食事会場の本棚にいろいろな本があったのを思い出し、食事会場からKURAの雑誌をお借りして部屋でお酒を飲みながら更に情報収集。



なるほど、「信州を愛する大人の情報誌 KURA」か。。

信州をこよなく愛する男としては、これは弊社で定期購読しないといけませんな、、マジな話で・・(笑)


本日も非常に充実した一日でした。好日珈琲オーナー、刀オーナー、伊勢屋女将さんと各宿場町のキーマンと言える方々にお会いできたご縁に感謝しつつ、眠りにつく。


5日目の走行距離:127㎞

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古民家
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インバウンド
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